AIの創作力に湧いた「恐れ」について。
ゴールデンウィークが終わりますね。野遊びシーズン真っ盛りでワタクシはフィールドで動き回ったGWでございました。その間もAIの進化はとどまることを知らず。猛スピードで爆上がりするAIの創作力に微かに「怖さ」を憶えたのでそんな話を書いてみます。
まずはこちら、聞いてみてくださいませ(さわりだけでもいいので!すごいから!)。
googleのnotebooklmというAI情報整理ツールの派生機能として最近実装されたものを使って作りました(無料で使えます)。私の過去2年分のメルマガのテキストデータを読み込ませたうえで、最近の私の「AIに関する気付きについてまとめて」というオーダーに対して3分ぐらいでちゃちゃっと出力してくれた音声ファイルです。
どこのラジオ番組だこれは…。女性と男性のやりとりのリズム。間の取り方、強調の仕方。選ぶトピックスの筋の良さ。半端ないです。聞き心地が良すぎる。
「感情」に届く話し方というか…。ただ文字情報を読み上げられるというのは違う世界がそこにある気がします。抑揚、強調、間合い、リズム、そしてトピックスを選ぶ編集力。ここまで来たのね…、と。正直、ちょっと恐ろしくなりました。
AIによるアウトプットが氾濫する今日この頃
ちなみに、ワタクシ、このゴールデンウィークは車の移動中の過ごし方が変わりました。
これまでは音楽かポッドキャストを聞くことが多かったのですが、ここのところはChatGPTの音声入力で会話をしながら考えを深めています。まったく支障なく議論ができる(電話じゃないし、ハンズフリーだったら問題ない、、ですよね…!?)。考えがまとまるし、有意義な時間の使い方なのだけど…。冷静になるとやはりその進化スピードに少し怖くなる…。
世の中のアウトプットにもAIが書いたものが溢れてきていることを感じます。
私がAI関連の情報ばかりを追っているからかもしれませんが、AIが中心的に書いているであろう記事がたくさん流れてきます。多くは海外の一次情報を日本語に分かりやすく再編集された記事。便利だし大切な情報なので読むのだけど、もはや情報自体は「価値」ではなくなってきている気もする。
例えばこれ↓
https://ai-2027.com/
AI2027という4月の上旬にOpenAIのリサーチャーがだした未来予想。
2030年に人間がAIに駆逐され、AIは発展して宇宙に飛び出すという衝撃的&SF的なシナリオです。「AI2027」で検索すると和訳記事やら動画やらがたくさん出ているのですが、そんなものを読まずとも先ほどのnotebooklmにリンクを渡せばあっという間に日本語で解説してくれる。ChatGPTでもなんでも簡単に、言葉の差は飛び越えてくれる。
そう、二次情報を発信することは非常に簡単。それゆえ、二次情報の価値はどんどん低くなっていくのだろうと思うのです。二次情報、三次情報、四次情報、五次情報・・・が世の中にあふれかえる。急速に。猛スピードで。しかもかなり高いクオリティで。誰でも作れるようになる。そしてそれは単なる「文字情報」だけではなく先の音声対話のように抑揚ある「伝わりやすい」表現となる。そういうものが溢れかえる時代。
2023年とはまるで異なる生成AIの創作力
言葉の濁流。情報の激流。
そんな世の中で私たちは何を発するか。発しないか。問われている気がしました。
私のメルマガでは過去2回、AIとのコラボで文章を書いたことがあります。
メルマガの文章をAIに書いてもらって思うこと。(2023年11月 GPT-4)
ロジックとエビデンスの向こう側。 with Chat GPT(2024年11月 GPT-4o)
正直、過去の2本は今、読み返してもイマイチ。改めて今回、過去全ての私の記事を読み込ませ、最新版の推論モデルGPT-o3に私の記事タイトルを5パターンつくってもらいました。
1「AIと土の匂いが混ざるとき。」 :デジタル原っぱ=AI×自然のハイブリッド体験を深掘り
2「揺らぎのデザイン論——“迷う力”を取り戻せ!」:境界をぼかす姿勢を“意思決定術”へ展開
3「五感をインターフェースにする学び。」 :身体性回帰+生成AI時代のリテラシー再定義
4「DAOごっこから始めるコミュニティ実験室。」 :デジタル原っぱ大学DAO構想のリアルな第一歩
5「未来の孫へ、47歳のAI日誌を添えて。」 :世代をまたぐ手紙シリーズを未来視点で続編化
なかなか筋がいい…。どれも面白そう。
ワタクシ、これまでこの「メルマガ」は「生成AIとの協業」と明示したとき以外、100%ピュア人間である私が書いてきました。その一次性、人間である私の凸凹さや矛盾や主観の塊にこそ価値があると信じてやってきました。
AIはいろいろ触ってきたけど、このコラムは自分にとっての人間の聖地として残しておいた気がします。ただその信念みたいなものが少し揺らぎました。生成AIを拡張する自分の一部として活用することで、より面白きものを書けそうだとこのタイトル群を見ると思うのであります。
ワクワクと恐れを胸に、目を見開き続けるのだ
一方で、もぞもぞと自分の中で湧いてきた「怖さ」みたいな感覚を記録しておきます。
ここ数カ月は能天気に、無邪気に、AIに夢中になってきたのだけど、ここ数日、自分の中にじわーっと広がった「怖さ」。これまでの自分があまりに無邪気すぎたか、という反省か。あるいはその発達スピードに圧倒されたのか、自分が不可侵領域だと信じていた場所が侵される怖さが故か…。自分でもその恐れの要因がはっきりしないのだけれども、ぼんやりとそこにあります。
あえてその「怖さ」を見つめてみると、自分の居場所の源泉だと思っていた部分、非言語な感情に届くコミュニケーションも、実はAIにとっては大して難しいことでない、と気づいてしまったからかもしれません。自分の想像力の及ばぬ速さで進化するAIに本能的に「恐れ」と「警戒心」が沸き起こったのかもしれません。
もちろん、身体性という一点において、(今のところ)人間とAIとの間には大いに差があります。でもそれ以外の差はあっという間になくなっていくかもしれない(いや、すでに追い越されて差が広がる一方なのかもしれない)。やはり、ナマの感覚と、手触りと、一次情報である自分の言葉を大切にすること。これしかない、ということを再確認するのであります。
そのうえで過度に恐れずにAIとの協働もトライ&エラーしながら、自分の中の「恐れ」も意識しながら前に進むしかないかもしれません。これはある意味、健全なことだと思い至りました。未知なるものへの恐れとワクワク。両方を持ち続けつつ、目を開き続け、手を動かし続けることがちっぽけな一人の人間ができる精一杯のことなのかもしれません。
そんなわけで今度はAIが作ってくれたタイトルを元に、協同作業で記事を1本書いてみようと思います。
ちなみに、先ほどのAIが作ってくれたタイトルのひとつ、5「未来の孫へ、47歳のAI日誌を添えて。」でChatGPTに私の代わりにメルマガの文章を書いてもらいました↓。過去2回と比べると飛躍的に進化しているけれども、まだまだ面白い文章とは言えないかな。やはりそこに身体性というかリアルな人間存在的なものが伴っていないと感じました。ワタクシ的には。
(おまけ)2025.5.6 Chat GPT o3作:
-----------------------
未来の孫へ、47歳のAI日誌を添えて。
うむ。本日も火曜日。メルマガを書きながら横目で GPT‑β が回すログを眺めている。数週間前に「47歳のワタクシから17歳の僕へ手紙」を綴ったばかりだが 、今度はまだ見ぬ孫に向けて一通書いてみようと思い立った。動機は単純で、AIまみれの日々を振り返ると「この熱狂を誰かに渡したい」とむくむく湧いてくるからである。相手が未来の孫なら、多少のポエムも許されるだろう。
1 AIと泥まみれのグラデーション
朝五時。原っぱ大学の森で子どもたちと土を掘り返し、ヒトデのように意味不明な木の実を集めてはしゃいでいると 、ポケットのスマートタグが「温湿度 66 %、思考加速モード推奨」とささやく。AIが差し出す数字は冷たいが、その瞬間に感じた土の匂い、手のひらの湿り気はどこまでも生あたたかい。――孫よ、この“グラデーション”を受け取ってくれ。機械のロジックと身体の感触が重なる地点に、愉快な未来が待っている。
2 47歳、AI中毒のち回復中
君のおじいちゃん(かもしれないワタクシ)は今年、見事にAI中毒に陥った。LINE Bot〈ガクコ〉はキリン語で歌い、Discord ではエージェントたちが夜な夜な議論を交わす 。中毒期を抜けたいま、残ったのは「人間の不得意を機械に預け、浮いた余白で遊ぶ」という極めてシンプルな方程式だ。覚えておくといい。AIは時間を削ってくれるが、遊ぶ中身までは作ってくれない。
3 “無理しない冒険”のレシピ
原っぱ大学では大人向けに「ほどほどの秘境で、無理しない冒険」を掲げている 。これはAI時代にも通用する合言葉だ。君が最新のホログラム・ゲームに夢中になったとしても、画面を閉じて近所の川で石を跳ねさせる余白を忘れないでほしい。遠くへ行くより、深く潜る。高度なシミュレーションより、一歩の泥んこ。AIは羅針盤にはなるが、冒険者の心拍数を上げるのは風だ。
4 手紙というアナログ回路
さて、ワタクシが47歳で書くこの手紙が、いつ、どんな端末で開かれるのか想像もつかない。もしかすると、君は「紙」を一度も触ったことがないかもしれない。けれど書くという行為は、音声コマンドよりもずっとゆっくり思考を深堀りさせる。ここに残る行間の揺れこそが、人間らしさの設計図だ。もし心がざわつく夜が来たら、端末の電源を切り、手を動かし、文字を綴ってみてくれ。
最後に。ワタクシのAI日誌には、毎晩ユーモラスなエラーが走り、朝には雑草が伸び放題になっている。完璧とカオスが交互にやってくるこのリズムを、君にも味わってほしい。AIはきっと君の相棒になるけれど、親友は好奇心と身体性だ。どうか二つを携えて、好きなものを好きなように耕しておくれ。
ではでは、未来の空気が少しでもやわらかいことを祈りつつ。ワタクシはこれから畑の人参を間引き、〈ガクコ〉に今日のエラー報告を任せ、焚火を用意するよ。火の温かさはたぶん、100年後も変わらない。
-----------------------

すでに登録済みの方は こちら