デキるビジネスマンとして評価されたいワタシ、45歳シャチョー。
前回のメルマガで「全体像」を知りたい新入社員のケイちゃんと「迷子でいたい」シャチョーの私について書きました。ありがたいことに、「迷子好き」の皆さまからたくさんの賛同の声をいただきました。ありがとうございます。今日はそんな迷子シャチョーのこじらせ事情の続きであります。
何を隠そう、わが社は中小企業ならぬ、吹けば飛ぶ微細企業でございます。もちろん、微細なりに価値を生み出している自負はあるし、たくさんの会員の皆さま、クライアントの皆さま、パートナーの皆さま、スタッフの皆さんに支えられて7月には株式会社として創業8周年を迎えます。それは大いに胸を張れることです。ただ、事業の成長とかビジネスの広がり、という意味ではまだまだ全然です。経営数字はいつまでたっても厳しいのであります、はい。
先日のこと。原っぱ大学の会員さんで、会社経営の大センパイで、近所に住むEさんが、僕に向かって言いました。「ガクチョはお金を稼ぐことに興味がないよね」。
「いやいやいや、興味ありまくりです」と答えましたが・・・。Eさんの指摘は核心をつくものでした。
ワタクシ、HARAPPA株式会社の創業時には「稼ぐ」と決めて作りました。原っぱ大学というおよそ、儲からなそうな事業を軸に、市場のルールで勝負し、立ち上げ・存続・成長させる。そんな思いで会社を興しました。
で、8年経ったわけですが、当初の決意とは裏腹に、事業の数値目標を設定してがむしゃらに追うなど利益を作る、事業を成長させる、ということに意識を向けてこなかった自分がおります。
もっというと、目の前にいる人への価値を最大化することには120%の努力をしてきた自負はあれど、如何に利益を上げるか、拡大するか、目標設定するか、という話題になると耳を閉じ、聞こえないふり、考えないふりをしているワタクシがおりました(そりゃ会社の数字も厳しいわけです…)。Eさんはじめ、そんな私に救いの手を差し伸べようとしてくれた皆さま、何度も申し訳ありませぬ…。
Eさんからの指摘を受けて改めて自分を見つめると、これはワタクシの中に深く根差した「デキるビジネスマンとして評価されたいワタシ」(通称:ビジネスコンプレックス)によるものだと思うのです。
評価されたいなら、シンプルにがんばれよ、ってことなのですが…。ちょいとややこしくこじらせておりますので説明します。
「原っぱ大学」の価値は唯一無二のものだと思っているし、自分たちが切り開いた座標軸にいるので、誰とも比較する、比較される必要がないんです。だからこの領域では胸を張れる。だからいろいろと熱く語れる。
でも「ビジネス」となると、他者と比較してしまう自分がいるのです。
デキる男と思われたい。優秀なビジネスマン、経営者として評価されたい。すごいやつと思われたい。稼げる男と思われたい…。
そして、その尺度では自分より「できる」人、「能力が高い」人がたくさんいる世界。
前職の同期で起業した〇〇さん、後輩の〇〇さん、若手起業家のだれだれ…。私のまわりにはビジネスで勝負している人がたくさんおります。そして、それぞれが上場したとか売上〇〇億円だとか、資金調達〇億円とか、大手企業××社と事業提携とかとか、そういう話が聞こえてくるのであります。
そんなあれこれを聞くとチクリとして、ざわざわする自分がおります…(ああ、書いてしまった…)。
それならば、ハングリー精神で負けないように頑張ればいいのに…。
私のややこしい反応は、勝てない現実を見たくないから敵前逃亡。その勝負はしない。
戦わないことで自分自身を守ろうとするワタクシがいるのであります。防衛本能ってやつですね。傷つきたくないから逃げるのが一番。
だから、既存のビジネスの共通言語で話すことを避けるのであります。
ワタクシの心の奥の方にいる、か弱い私です。
45歳の私の中に今も確かに存在するビジネスコンプレックス。評価されたい、でもかなわなそうだから面と向かわない。ややこしや…。
でも、この子と付き合いながら経営をしてきて8年。徐々に関係性も変わってきております(たぶん)。少し前までは、私=HARAPPA株式会社として、なんとなく自分と会社を同一視していた自分がいたんです。でも、会社はあくまで器。私は役割としてシャチョーをやっとる(デコボコで迷子好きで、ビジネスコンプレックス持ってるけど)。そう思えると割と冷静に会社の判断ができたりするんです。
そして今朝のミーティングでこの話をしていたときに新入社員のケイちゃんが言いました。「自分の感覚だけで判断しないで一度立ち止まってみたらいいんじゃないですか?」
そう、感覚だけを信じていると「ヤダ怖いもん!傷つくもん!」ってなることも、一度立ち止まって深呼吸すると大したことではない、そんなことがたくさんありますものね。
同じミーティングで経営パートナーの志村は言いました。「ビジョンに立ち返るのがいいんだよ。そしてそのビジョンを大きくとらえる。大きなビジョンに向かって大切かどうかで判断したらコンプレックスも何もないよね。」
そう。コンプレックス的な何やらがいることは仕方ない。それを無かったことにしようとしたり封印したりするとろくなことにならない。そうではなくて、もっと大きなもの、大きな世界を見て向き合っていくことで、役割を果たすことで、ワクワクとともに、小さな自分に囚われられることがなくなるのかな、と思うのです。
下手くその 上級者への道のりは、己が下手さを知りて一歩目。
「スラムダンク」、湘北高校の安西先生の言葉です。いい言葉。
か弱い「ビジネスコンプレックスちゃん」が自分の中にいることに自覚的にありつつ、Eさんの「ガクチョはお金を稼ぐことに興味がないよね」という指摘に対しては胸を張って「いや、めちゃくちゃ興味あります」と、意思を込めて答えることにします。自分は下手くそだけど、それを知ったうえで仲間の助けの手に心を開いて、上級者への道のりを歩みたいと思うのであります。
なんだか鬱屈としたワタクシの内部事情でして、書くことにためらいがありましたが、でもまあこれも私の一部分であります。そんなデコボコな自分自身も抱きしめつつ、事業としても成長できるシャチョー、会社を目指すのであります。世の中でよく言われるように「シャチョーの器が会社の器」ってのは本当にその通りですね。
精進します。合掌。
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