会社設立10年の節目に思うこと。
7月16日。私たちのHARAPPA株式会社の誕生日。2015年設立なので10歳になります。10年をひとつの節目にと思ってやってきたのですが割と平然と、いつも通りに10歳を迎えそうです。節目なのでこれまでとこれからについて考えてみます。
「原っぱ的」な時間が広がれば、世の中はいい方向に向かう
10年前、会社設立に際してFacebookに投稿した文章を探し出しました↓
原っぱ。HARAPPA。
誰も何も用意してくれないすき間のような場所。だからこそ、好きに工夫して好きに遊べる。誰かが用意した借り物でお茶を濁すのでなく、自ら作り出して、感じて、考えて、手を動かす。
失敗もする、怪我をするかも。「答え」も「結果」もなくて、そこで過ごす時間そのもの、プロセスそのものを楽しむ。誰かのせいにはできないけど、その分、誰かに何かを押し付けられることもない。
身も心もぎゅうぎゅうにがんじがらめに詰まった状態でなくて、ちょっと心にすき間をつくって、深呼吸して、自分の感じていることを信じる。発する。
ちょっと抽象的ですかね。泥んこになったり火で遊んだり、木でものをつくったり、びしょ濡れになったり。そういう「生」を身体で感じること、身体の内側からわくわくすること。わくわくに乗っかって身体を使うこと。頭でっかちを捨てて、身体で感じようぜと。
子どもにとってだけでなく大人にとってもそんな「原っぱ的な」時間が大切だと思うんです。そんな時間、体験が広がれば世の中はきっといい方向に向かう。そこに寄与したいと思いHARAPPA株式会社を設立しました。
びっくりするぐらい今も、10年前も考えていることの根源は変わらないようです(10年前のアタクシ、いいこと書くなぁ…)。
原っぱ的な時間が広がれば、世の中はきっといい方向に向かう、そんな明るい未来を見据えて会社を作ったようですが、果たして、原っぱ的な時間は広がったか。世の中はいい方向に向かったか。そして私たちは「世の中がいい方向に向かう」ことに果たして少しでも貢献できたのか。
会社名を英字で「HARAPPA」としたのは、日本の風土によって生まれった「原っぱ」の概念(決して英語的なfieldではない)を海外に輸出していきたいからという(割と真剣な)思いでした。10年経って、思い切りドメスティックにやっております。海外展開の気配すらございません。
そもそも、世の中が向かう「いい方向」って何だ?
この10年を振り返った時に、「世の中がいい方向に向かう」ことに貢献できたかどうかは正直分かりませんし、たとえ寄与していたとしてもその影響はものすごい微々たるものでしょう。日々の目の前の課題に振り回され続けた10年だったというのが正直な思いです。
不器用にも愚直に、HARAPPA株式会社は私たちが「世の中がいい方向に向かう」と信じることにほんの少しでも寄与することと、経済のルールに則って会社が存続しつづけるということのぎりぎりのせめぎあいの中で踏ん張ってきました。
そもそも「世の中が向かういい方向」って何だっけ?
今の私の言葉で語るとすると…。
大人も子どももひとりとりが、心の内側から湧いてくるエネルギーにゆだねられること。自分の身体と、自然と、風土と、時間の積み重ねと、世界とのつながりを感じられること。そのベースの上で、暮らしや仕事が営まれていること。
はは、だいぶ抽象的でロマンチックですな。そしてこれは最早、私の勝手な「願い」かもしれません。でもまあ、願いのために仕事をする、というのはとても幸せなことだと思っております。
関わり、参加し、思いをむけてくださった全ての皆さんへ
この10年、私たちが「世の中がいい方向に向かう」ことに貢献できたかどうかは定かではありません。ただ、株式会社を始める前の2012年4月の「子ども原っぱ大学」の立ち上げから、本当にたくさんの方々「原っぱ大学」という場に触れ、遊ぶ時間を一緒に作ってきてくださいました。
ひとつひとつのイベントやプログラムに参加してくださった方、SNSなどの発信に共感し応援してくださった方、立ち上げ時から様々な形で関わってくれたスタッフ、様々な形でお仕事を共にしたパートナー企業の皆さん、コロナ禍の危機で支援・応援くださった皆さん…。
参加者もスタッフも企業パートナーも今は異なる道を歩んでいる方々がたくさんいらっしゃいます。何年も連絡を取っていない方たちがたくさんいます。そんな皆さんのお一人お一人の思い、関りがあったから10周年を迎えられるHARAPPA株式会社があるということ。皆さんと「遊ぶ」時間を共有できたこと自体が、HARAPPA株式会社なりの「世の中がいい方向に向かうこと」への貢献だったと強く感じます。
そのとき、そのときの一人一人の思い、ワクワク、喜び、悲しみ、怒り、矛盾、戸惑い…、いろんなものと共にあった原っぱ大学です。
社会的なインパクトとして、指標で語れるものでは全くないけど…。そういうのはまあいいや。
ちなみにこちら→(ボクらの仕事と幸福論 ~塚越暁さんの【私としごとと幸福論】1/5)、ゲストに呼んでいただいたポッドキャストの第1回。私の一生の宝物です。ゲストはワタシなのだけど、ホストの山田夏子さんが10年前に参加した原っぱ大学に如何に救われ、如何にあの時の時間が今につながっているかを熱く語ってくださっています。10年経ってこんな風に伝えてもらえることがどれだけありがたいことか…。きっとこうした物語がたくさんある。語られなくても、私たちが知らなくても。
2012年のプロジェクト立ち上げ時から原っぱ大学に参加してくださった、関わってくださった、思いを向けてくださったすべての皆さんへ…(この記事をいま、読んでくださっている皆さんへも!)。
目をつぶって、お一人お一人を思い浮かべて感謝の気持ちを伝えたいと思います。
10年間、どうもありがとうございました。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
で、次の10年はどうするの?という話になると思うのですが…。記事が長くなりすぎるとなかなか読んでいただけないことが多いので、今回はこの辺で自重します。次の10年に向けてはまた今度。

2012年4月の最初の「子ども原っぱ大学」のイベント「秘密基地づくり学科」のためのメインイメージビジュアルとして描いた「秘密基地」の様子。なかなか今も変わらぬ世界観(進化してない)。
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