コンビニのコピー機をめぐる一期一会。

先日のこと。コピーをしようと車でコンビニ向かいました。車を駐車しようとすると前をのんびりあるくおばあさん。ちょっと急いでいたので多少イライラしつつも、おばあさんを轢くわけにもいきません。ゆっくり駐車をして店内に入ると…。
塚越暁 2025.09.09
誰でも

先日のこと。コピーをしようと車でコンビニ向かいました。車を駐車しようとすると前をのんびりあるくおばあさん。ちょっと急いでいたので多少イライラしつつも、おばあさんを轢くわけにもいきません。ゆっくり駐車をして店内に入ると…。

おばあさんはゆっくりとコピー機に向かっていきます。もしや…、と思うも、さすがに猛ダッシュでおばあさんを抜いてコピー機に張り付くわけにもいかない…。一瞬、躊躇すると、おばあさんはコピー機にとりつきました。

「これは、やばいやつだ…。果てしなくコピー機が空かないパターンだ…。この後の予定が詰まっているのに…。しかも立ち読みして時間をつぶそうにも、雑誌はすべてビニールで覆われている…。他のコンビニに行くのはかえって時間がかかりそうだ。おばあさんにプレッシャーをかけるのも大人げない。どうする、俺…。」一瞬の間に物凄い計算が頭をめぐりました。

結果、おなかが空いていたので、何か食べるものを買うことにしました。お稲荷さんとからあげをゆっくり買ってからコピー機の方を覗くと、案の定、おばあさんはまだそこにいる…。ああ…。

よく見るとおばあさんは困っているようです。店員さんを探しているけど、どうにも近くにいない。目が合ったので反射的に声をかけました。「何か困っています?」

「コピーのやり方が分からないのよ…」とおばあさん。手元のタッチパネルを見ると、コピーではなくて何かの支払いかチケット発行のボタンが押されており、暗証番号を入力する画面になっている…。それでは永遠にコピーができません(今どきの複合機、多機能すぎて難しすぎですわよね)。

おばあさんに変わって、ボタンを操作して、お金の入れる場所を教えて、コピーのプレビューを確認して、コピーをスタート。A4の紙1枚、コピー完了。

「どうもありがとうね。助かったわ。」「どういたしまして。」

なんてことない、些細な会話(メルマガを書くネタを探していなかったら忘れてしまうような小さなワンシーン)。それでも少し心に残ったんです。

なんだか暖かいやりとりがそこにありました。おばあさんのありがとう、という言葉に温かな感謝の気持ちが込められた気がして、それを受け取って、全力でどういたしまして、と返した自分は「温かな感謝を伝えてくれてありがとうございます」という気持ちを込めたようです。

あ、気持ちいい。

自分が善人だとアピールしているわけではありません(実際、おばさんに声をかけたのにはたぶん、早く自分のコピーをしたいから、という思いもあったのでしょう)。ただ、この見知らぬ人との「ありがとう」の交換がすごく気持ちよかったのです。

冒頭の駐車スペースでの「なんか邪魔なおばあさん」から「ありがとうを交換しあった仲間」におばあさんが変わった感じがしたのです。この変化が気持ちよかったのです。マスクをしていたから、顔は特定できないし、僕もおばあさんもこの小さなエピソードを忘れてしまうでしょう。僕らの人生がまた交差する瞬間はもう来ないかもしれないけど…。小さな一期一会の瞬間が気持ちよかったのです。

話が変わりますが先日、大学時代以来、二十数年ぶりに再会した友人と話していたときに、彼がこんなことを話してくれました(飲みの席での話で、趣旨をきちんととらえられているかは不明。ワタクシの解釈が入っています)↓

「人が他人に与える影響なんて測れないし、よくわからない。それでも小さな影響が少しずつ伝播して広がっていくと信じられたらなんだか希望を感じるよね。人が関わりあう意義ってこういうところにあるんだろうな。」

バタフライエフェクト、みたいな話だな、と思って聞いていました。ささやかな、ちいさな、よきことを他者とシェアすること、それによってそんなささやかさが少しずつ、人を介在して伝播していく。そこにエビデンスも何もないけど、そんな世界だと「信じて」みるのは悪くないな、と思う次第です。

geminiの生成です。最近の生成AIの画像はリアルですね…。

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