夏休みの終わりに思うこと。「原風景」が大切なのよ。

先日のこと。妻が私のことを呼び止めまして「ちょっとこれを観て」とテレビの前に座らされました。正座して見せられたのは録画してあった対談番組で、米津玄師さんが名曲「パプリカ」について語るシーンでした。
原っぱ大学 ガクチョー ツカコシ 2024.08.27
誰でも

先日のこと。妻が私のことを呼び止めまして「ちょっとこれを観て」とテレビの前に座らされました。正座して見せられたのは録画してあった対談番組で、米津玄師さんが名曲「パプリカ」について語るシーンでした。

若干うろ覚えなのですが…、対談の中で米津さんはこんなことを言っていました↓

「子どもが歌う子どものための応援ソングをつくってというオーダーだったけど、子どもに『がんばれ』とか言いたくなかったし、言わせたくなかった。夢や目標に向かって頑張らなくたっていいと思う。では何をもって応援ソングかと考えたときに、小さい頃のおじいちゃんの田舎で思い切り走り回ったこと、きれいな川、花火、そんな情景が今の自分を元気づけてくれていることを思った。楽しんで、没頭して、この世を生きていくことそのものに意味があるんじゃないかな。」

ちょっと雑な要約だし記憶があいまいで、実際の米津さんの言葉の一部分しか表現できていないかも。それは私の責任です、スミマセン(あ、9/1までTVerでこの番組を見られるようです)。

私が常日頃から考えていることと照らして何ら違和感なく、「その通りだと思うよ」と妻に伝えたら、「それだけ??上から目線ぽいし」と言われましたが…。いや、上から目線ではなく、200%のその通りだと思うのでございます。

原風景というか、原体験というか、そういう匂いとか肌感覚とか空気の重みとかそういうのを伴った記憶、体感、かえるべき場所みたいなものが、どれだけ力をくれることか。言葉にならなくていい、説明できなくていい。イメージの断片でいい。そんな風景の重なり合いが私たちを応援してくれるかけがえのないものになると、私も心から思います。

大学生と高校生になったうちの子どもたちと話をしていると、あのときはああだった、こうだった、どうだったと、小さな時の記憶がそれこそ断片的にポロポロと出てきます。嬉しかったこと、悔しかったこと、寂しかったこと、ワクワクしたこと、悲しかったこと…。ポジティブ、ネガティブ、いろんな当時の感情含めて。

彼らのなかに蓄積された原体験、そこに広がる原風景の一部を共有してもらうことはとても嬉しいことです。そしてそれは決して両親である我々が意図して積み重ねられるものばかりではなく。様々なご縁、出会いのなかで彼らが「生きる」なかで蓄積してきたかけがえのないもの。たくさんの人や場所、自然との関りの日常のなかで育まれてきたものなんだなと、それはそれはありがたい気持ちになるのであります。

ちゃんと言語化をして共有してこなかったけれども、私たち夫婦が親としてすごく大切にしてきたのは、彼らの中にたくさんの人や自然に囲まれた豊かな原風景を蓄積することだったような気がします。彼らの中にある原風景そのものは私たちの意図を超えているけれど、原風景を蓄積することには明確に意図を持っていたと思います、たぶん。

そんなことを思っていたらこんなニュースを目にしました↓
なぜ? 海水浴客、ピーク時から「9割」減 進む“海離れ”…見えてきた問題とは

海水浴に行く人が近年、すごく減っているんですって。このニュースの分析の正しさはちょっとよくわからないですが、でも肌感覚として去年、今年と逗子海岸の海水浴客が減ったな、ということを感じます。この暑さも大きな要因の一つだと思うけど…。

キャンプブームの終焉、なんて話もよく聞きます。自然を舞台にして「遊ぶ」場を作っている私たちとしては、自然遊びのマーケットがシュリンクしているって話を聞くとドキドキするし危機感を覚えるけど…。それ以上に、米津さんが語るような「おじいちゃんの田舎」的原体験が失われていないといいなぁと思うのです。

自然のなかでは人間のコントロールが効かない。この夏は確かに暑すぎたし、海は危険なこともあるし、クラゲもいるし、海水はベタベタする。でもなんというかそういうもの全部ひっくるめて、自然の生な体感が私たちの生きる養分になっていくし、その経験の蓄積が「自然を大切にしよう!」みたいなことをわざわざ表明しなくても自然をリスペクトし、自然と共に自然の中で生きる人間を育むように思います。

もうじき8月が終わります(夏休みはすでに終わっちゃった人もいますよね)。この暑すぎてなかなか外に出られなかった夏が、それでも子どもたちのなかに原風景をたくさん残してくれていたらなと思います。原っぱ大学の活動も、そんな風に子どもたちの中に蓄積されていたら、嬉しいし、それがきっと、豊かな未来につながっていくとワタクシは信じております。

最後にちょっと宣伝です。8/28(水)20:00- オンライン原っぱ対談、やります(アーカイブ視聴も可能!)。今回のゲストは青木純さん。「わがままに暮らすことを面白がる」というテーマで対談しますが、純さんが作りたい景色はまさに子どもたちの原風景となるような日常なのだろうなと。そんな話をしますゆえ、もしよかったらチェケラです!
ご参加予約はこちらから↓
【一般用】オンライン対談・青木純さん「わがままに暮らすことを面白がる。」
【原っぱ大学会員用】オンライン対談・青木純さん「わがままに暮らすことを面白がる。」

ある日の逗子海岸。ある日の原っぱ大学のワンシーン。 photo by shotaro shimura

ある日の逗子海岸。ある日の原っぱ大学のワンシーン。 photo by shotaro shimura

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