「つくる喜び」を取り戻せ!

トンテンカンテン・・・。フィールドになり響くトンカチの音。トンカチを打っているのは5歳児前後の子どもたち。もう何十回、何百回と原っぱ大学のフィールドで繰り返されてきた景色です。
塚越暁 2026.01.27
誰でも

トンテンカンテン・・・。フィールドになり響くトンカチの音。トンカチを打っているのは5歳児前後の子どもたち。もう何十回、何百回と原っぱ大学のフィールドで繰り返されてきた景色です。

延々と時間をかけて1本の釘を打ち込む子どもたち

1本の釘を打ち込むのに延々と時間がかかる。途中で手が疲れて休憩が挟まる。それでも少しずつ、少しずつ釘は板に沈んでいく。トンカチって子どもにはとっても重たい。持ち方を工夫しながら、学びながら、ちょっとずつ打ち込んでいく。10回たたくと9回は外れる。だから果てしなく時間がかかる。

「おおきな家を作りたい」「でっかい扉をつくりたい」…。最初は大きな目標を立てていたものの、気づくと目の前の1本の釘に全集中。最終的な成果物のことなど忘れてただひたすらに釘を撃ち続けている彼ら。

そのひたむきさに、毎度毎度、アタクシは感動させられます。

彼らは評価を気にせずに、シンプルに目の前の釘と向き合っている。上手とか下手とか気にしない。「つくる」喜びにどっぷり浸っている。

大人になるにつれて「作る」ことが怖くなってきた

一方で僕らはどこかの年齢から「作る」ことが少し怖くなるようです。

「作るもの」が他人に評価されて、他者と比較されるようになる。作るのが上手な人と、そうでない人が明確に区別されるうようになってくる。自らを「作るのが下手な人」と認識すると「作ること」から距離を置くようになる。いつの間にか、「つくる喜び」を忘れてしまう。

あ、思い出してきました。

小学2年生の頃かな。図工の水彩の時間。校庭の木を描いていたのだけど、絵の具を混ぜるのが楽しくなっていろんな色を混ぜたら緑色がどす黒くなってしまって…。どす黒いまま、葉っぱを描いていたら横にやってきた先生が、「全然葉っぱの色じゃないわね」みたいなことを言って、緑色の絵の具を出して僕が描いたどす黒い葉っぱの上から緑色の葉っぱを描きなおしたこと。そのときのなんだか残念な気持ち。

小学5年生ぐらいの夏休みの自由研究。「コインを置くとガイコツが自動で踊りだす貯金箱」というのを思いついて作ったのだけど、仕掛けがうまく機能しなくて、時間切れで中途半端な動かない貯金箱を提出しました。それをみた友人に「なんだよこれ、動かないじゃないか」と笑われた苦い記憶。

中学生の頃に至っては何かを作ろうとした記憶すらない。

高校生になってご多分に漏れず周りの影響でアコースティックギターを手にして、オリジナルな曲と歌詞を作ろうとして、あまりのひどさに瞬間で絶望して、おぞましい気持ちでギターを脇に置いた記憶。

そんな小さなエピソードの積み重ねで、小さなころの「つくる」が当たり前に自分の手の中にあった感覚が徐々に失われていった記憶があります。「作る」ことは自然と「よりいいもの」を作る作業になって、「よりいいもの」を作れない、「アート」や「デザイン」の「センス」のない自分は「作ること」から離れていきました。

最初は他者の言葉だったのかもしれない。でも、いつしか自分の内面からの言葉で、自分にはセンスがないから、「作る人間」ではないと思うようになっていたようです。

子どもたちをお手本に「つくる喜び」を取り戻す

20代、30代のワタクシは「つくる喜び」を忘れていたようです。

30代半ばに原っぱ大学をはじめて13年。子どもたちの「つくる喜び」に身をゆだねるエネルギーに触れ続けてきました。そのエネルギーに感化される大人たちの姿もたくさん見てきました。

結論。成果物のできが上手か下手かなんぞマジでどうでもいい。成果物なんて無くたっていい。つくる喜びに満たされること自体が、大人にとっても子どもにとっても圧倒的に大切だと思うのです。

遊びのフィールドにおいて子どもたちの邪魔をしない。大人は子どものマネをする。これが一番だなと改めて思うのであります。

「つくる喜び」を忘れてしまった大人たちよ、子どもを手本にあの喜びをもう一度、取り戻そうぜ!

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