47歳のワタクシから17歳の僕へのお手紙。
本日、47歳になりました。なかなかのおじさんですが、感覚としては46歳と特段変化はありません。たまたまの節目なので今回はちょっと余興的に、30年前、17歳の自分に手紙を書いてみようと思います。
ちょっとだけ背景をお伝えすると…。我が家には20歳になる息子と17歳になる娘がおります。
ありがたいことに二人ともすくすく育っており、素晴らしいなと日々思っているのですが…。妻からは父親としてのメッセージとかアドバイスとかそういうのはないのか、とよく言われます(本人たちからはあまり言われません)。
ただワタクシ、「父親としての」アドバイスとかメッセージとか格言とかが、どうにも苦手です。子どもたちの選択についていつだって「好きにしたらいいと思うよ」とか「いいんじゃないの」とか「何とかなるよ」といったなんとなくの肯定の言葉しか出てこないのであります。
父性の欠如。あい、すいません…。自分自身の意見はもちろんあるのですが、自分の子どもといえども、それを「アドバイス」的に伝えるのはどうも苦手なようです(もちろん、求められ、聞かれればでそれっぽいことは出てきますが)。
そんなわけで、47歳の節目に、17歳の自分自身に向かって手紙を書いて、アドバイス的なことを伝えてみたら、ちょうど同じくらいの年齢の我が子たちにも間接的にアドバイスなりメッセージなり的なものになるのではないかと思い至り、試してみることにしました。
17歳のワタクシの事前情報:
横浜の私立高校に通っていました。ラグビー部所属。中学時代はニキビっつらの白くてぷよぷよした子だったのですが、高校に入るとニキビがおさまってラグビーが楽しくて、なんだか楽しい高校生活を送っていた記憶があります(かなり朧気な記憶)。1995年。阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件があった年です。
ではお手紙をどうぞ。
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17歳のワタクシへ
17歳の誕生日、おめでとう。高校2年生!
30年後の自分なんぞこれっぽっちも想像したことがないと思うけど、まあ30年後も元気に、そこそこご機嫌にやっているので安心してください。たぶん、17歳のあなたは「将来のこと」なんてこれっぽっちも考えていないと思う。将来のことどころか、半年先、1年先のことを考える余裕もないよね。
それって最高だと思うんだ。どうぞ、存分に「今」を味わってくれ。30年も経つと当時の細かいことはほとんど忘れちゃったけど…。こうして手紙を書いていると部室のにおい、学校帰りの電車で拾って読んでたヤンジャン、コンビニで買ったジュース、友達とのしょうもないおしゃべりなどなど記憶の断片がちょっとずつ湧いてきます。そういう些細な時間の積み重ねがきっと今の僕を作っているんだな。どうもありがとう。
そうそう、あなたへのアドバイス的なことを伝えようと思ってこの手紙を書き始めたんだった。でもいざ、「アドバイス」ってなるとあまり出てこないな…。うーん…。
そうだ、ひとつあるとすると…。
先は長いし、なるようになるから大丈夫だよ。
嫌なこともたくさんある。失敗もたくさんする。人を傷つけてしまうことも、自分が傷つくこともたくさんある。先が見えなくて不安でどうしようもなくなることも、落ち込みまくることもある。でもね、30年後の僕が思うのはそれが全部、あなたを作っていく。だからその時はしんどいかもだけど、大丈夫だぜ、ってことだけは伝えておくよ。
自分の弱さや未熟さゆえの失敗も、どうぞたくさんしちゃってください。
嘘をついちゃうとか、誤魔化しちゃうとか、恩のある人に不義理をしちゃうとか、負の感情を人にぶつけちゃうとか…。残念ながら君はそういう失敗をたくさん、たくさんするよ。大人になってからもね(40歳を超えてからも…)。そして、それは本当に嫌な気持ちになるんだ。黒々としたいやーな気持ちになるよ。でもそれすらもあなたを作る大切な要素になっていく。だから、何も心配しなくていいよ。
嫌な気持ちはたんと味わって、繰り返さないように努力すればよろし(それでも繰り返しちゃうんだけどね、まあ仕方ない)。果たしてこれが「アドバイス」になるのか疑問だけど…。
もうひとつ、思いついた!
心に浮かんだかすかな疑問や違和感は飲み込むな。
君は割と優しい人間だし、引っ込み事案のところもあるから、なんか疑問が湧いたときに、「こんなことを疑問に思う自分がおかしいのかも」とか「こんなこと言ったら場の空気を乱すかも」とか「うまく説明できないからやめておこう」とか考えて引っ込めることがずいぶんあるよね。その癖は早いところ捨ててしまったらいい。
「疑問」や「違和感」は大切なセンサーなんだ。心の深いところからやってくるセンサー。そのセンサーは自分を守ってくれるし、人とより深いところでつながったり、より良き未来を創るためにとっても大切なものなんだな。だからね、疑問や違和感を飲み込まない癖をつけておくといいよ。人に伝えるときの伝え方は工夫がいるかもしれないけど、まずは自分がいま、「疑問を抱いた」「違和感を持った」ということを察知すること。これが大切だ。とっても大切だ。
大切なことだからもう一度書くね。「疑問」と「違和感」を飲み込むなよ。
最後にひとつ。
自分の直観と衝動に選択を委ねてよろし。
この先、君は合理的・論理的ではないけど、自分の衝動や直観を押さえられなくて選択をする、というときがたくさんあるよ。それ、全部オッケーだから。結果として小さな後悔をすることもあるけどそれも含めてオッケー。その瞬間に説明できなく全く問題ない。合理性、論理性などは放っておいて、自分の衝動に従ってよろし。あとでその衝動がちっぽけな自分のエゴによるものだと気付くことがあるけど、それでもその選択でいい。
だってあなたが生きているのは、あなたの人生だから。自分の選択と経験から学ぶのが一番大きな学びをくれるから。うまくいかないこと、コントロールできないことも含めて全力で楽しみな!
あとは、家族と友達。周囲の人を大切に。以上!
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うむ。自分に宛てたとて、全くもって具体的なアドバイスにはなっていない…。まあいいや。47歳のワタクシも皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。

97年ですって。95年当時の写真は見つからず。当時もやっぱり泥が顔についてる。
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