AIとの業務改善。ボトルネックが自分だった件。
今年の1月より私の会社の業務をAIとの協働体制で運用してきました。5カ月間、AIと共に運用して分かったことは、圧倒的なボトルネックは私(人間)ということ。このボトルネックを解消するために、人間中心の業務フローを改め、AIを業務の中心に据えると決めました。
人間中心+AIの業務システムの限界
このお正月に私はHarappa Management Cockpit(通称 HMC)という仕組みを構築しました。私(人間)がコックピットに座って、AI群をツールに効率的に経営マネジメントを行う、というコンセプト。
当時の記事:「お正月にAI最適業務フローを作ったぜ」

2026年1月にAIに描いてもらったHMCのイメージビジュアル。人間が、中心。
毎日のタスク管理、経費精算、請求処理、スタッフのシフト管理、議事録からSNS投稿管理まで。経理、人事、財務、マーケティングと会社運営に関わる全ての業務をAIとのコラボレーションで効率的かつ確実に行えるというなかなかに優れた仕組みでした(自画自賛)。
HMCは「Human In the Loop」という考えに基づいていました。人間がワークフローの中央にいて、AIに判断・指示を行うことで品質を担保するという発想です。その当時は非常に理にかなっていました(たった5カ月前を『当時』と呼ぶAI界隈の進化スピードの速さよ・・・)。
実際、HMCのおかげで、導入前と比べて経営管理の諸事が非常にスムーズに機能するようになりました。
一方で徐々にクリアになってきたのが・・・、自分自身がボトルネックになるということ。各AIは私からの指示がないと動かない。つまりは私が動けないとすべてが止まる。現場仕事が忙しくて指示を出せないとか、ちょっと気分が乗らない、眠いから今日はもうおしまい、といった私の肉体的・精神的・生理的なブレにより作業全体が止まり、遅れるということが見えてきました。
そう、ボトルネックは何を隠そう、この私。
HMCはそのプロジェクト名のとおり、私がパイロットとなり、業務の中心で「運転」する担当で、AIはあくまでサポートツールの役割でした。当然、パイロットがポンコツの場合はシステム全体が機能しなくなっていく・・・。そして自慢じゃないですが、ワタクシはポンコツです。

理想と現実のギャップ・・・
「AIエージェント中心」が世界の潮流
私のこの明確な課題と、世界のAIの潮流は驚くほど符号しています。
ここ数カ月、「Agentic Engineering」や「Harness Engineering」という言葉を多く耳にするようになりました。これらの言葉が表しているのは、いかにAIエージェントが動きやすいような環境を整えて、エージェントたちが自律的に自走する状況を作れるかということであり、その環境構築こそが大切だという考えです。
つまり、ポンコツな人間たち(失礼)を業務フローの中心に置かず、AIが自律的に仕事をする流れを作るということ。それが今の世の中のトレンドのようです。
さらについ先日、Claude を提供するAnthropic社も、ChatGPTを提供するOpenAI社も、企業の業務フローにAIをガッツリ導入するコンサル・実装子会社を設立した、というニュースが飛び交いました。両社ともただ単に企業へのAI導入をサポートする、ということではなくて…。業務フローそのものを人間中心からAI中心へ根底から描き直すことでドラスティックに業務を革新する提案・実装を行っていくということのようです。
また、先日開催されていたGoogle主催の技術発表イベントGoogle I/Oでも、発表の中心にすえられていたのはAIエージェントが自律的に駆動する世界を見据えての開発、検索やコマースのスタンダードの提示でした。
そう、おそらく世界の仕事現場の潮流は人間中心からAIエージェント中心へと急速に移行していく(好き嫌いとか、それによって個人の仕事がどうなるのか、という話には今回は触れません…)。
ちなみに、今起きていることの解析としては深津さんのこの記事が超わかりやすいです↓
AI企業が「受託」を始めた日。エンジニア、PM、デザイナーはどうこの先生きのこるか
人間中心の「コックピット」からAI中心の「庭」へ
そんなわけで超絶零細企業であるわが社も、このトレンドをいち早く取り入れ、業務の中心にAIを据える大変革を行うことを決めました。僕自身がボトルネックにならないために・・・。
その名も「Harappa Management Garden」。
もともとのCockpit(=操縦席)を改め、Garden(=庭)へ。人間はコックピットのパイロットから、庭を見守る庭師に位置づけを意識的に変えていきます。つまり、人間がワークフローの中心に座ってAIをコントロールしようとするのをやめて、AIが自律的に動く環境(庭)を用意、そこを耕し、剪定し、収穫する役割にシフトするということです。
エージェントの活動領域全体を「庭」に見立て、「種」(トリガー)から季節の移ろい(時間軸の変化や状況の変化により起動)によって各々のエージェントが自律的に業務を進めていきます。もちろん、要所では私に確認が入る設計。私は庭師として、方向修正や指示(剪定)をしたり、納品物を受け取る(収穫する)。

人間の指示に依存せずにAIが駆動しつづけることで、タスクが進んでいく世界。
(i)AI以前、(ii)人間中心+AIツールのコックピット、(iii)AI中心の庭を請求書処理の業務で比較してみます。
(i)AI以前
請求書の打診から受け取り、金額チェック、会計ソフトへの登録までをすべて人間がやっていました(間違いが起きるし、非常に疲れる…)
(ii)人間中心+AIツールのコックピット
私の指示に基づいてAIは請求書のデータを自動で処理、データの一覧化までをAIが担当。私はそれをチェックして修正、承認後にAIが会計ソフトにアップする。AI以前と比べ、圧倒的に効率化され、正確に動くようになっているものの、人間の指示がないと仕組みが回らない。
(iii)AI中心の庭
月初のタイミングがくるとAIが自動で請求書データを統合、スタッフの稼働データと突き合わせて確度の高い一覧化まで自動で行い、請求データと照合。科目分けや部門紐づけの案を推測しデータを作成し準備が整ったところで私に声がけ。私がチェックしてOKだったら会計ソフトにアップ。(ii)とあまり変わらないように見えるけど、自律的に稼働するということと、ほかデータと照合し、確度の高いデータを作成してくれることが大きな違い。
時期やイベントをトリガーにこうした動きが24時間稼働のサーバーを起点に動き続ける仕組み。運用すればするほどAI側に知見が溜まり、チューニングができていく(はず)。
環境構築が難儀だけどイメージがあれば出来る
もちろん、この環境構築自体が簡単ではなくて、種から収穫物がきちんと育つように土壌(文脈と環境)を整える必要がある。これが今、せっせとやっていることです。具体的には弊社の業務フローを言語化し、型に落とし込んでいくこと。様々なSaaSに分散している情報を統合したり、MCPやAPIでAIが直接読み込みに行けるように設計すること。私たちの仕事の流れやビジネスモデルやキープレイヤーなどをひとつひとつAIが読み取れるようにすること。そして、これまでは私と野やり取りだけだったAIをLINEを通じて直接スタッフとのやり取りにも開放していくこと。
この環境整備が非常に難儀なのだけど、一度、整理できてしまえば、そこから先はその情報をマスターに更新・アップデートしていくことでAI中心の「庭」ができあがるのです、たぶん。
この仕組みは半年前では構築できる気がしませんでした。
当時のLLMと今のLLMでは全然違う。扱えるコンテキストのボリューム、推論能力の高さ。思考スピード。いまだから、できることがある。何よりも、イメージできれば形を作れるという自信があるからね。ただたぶん、半年後にはこの仕組み自体が古いものになってしまう可能性があります。
でもでも、小さな会社でも、いや、小さな会社だからこそ、率先してAIシフトが行けると実感しております。詳しく話を聞いてみたいなどありましたらいつでもご連絡くださいまし!
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