さようなら、古民家「100sai」。

10年間、原っぱ大学としてお借りしていた逗子の古民家「100sai」。契約満了につき、本日、カギを返却し、お別れをしました。10年、長かったようなあっという間だったような。正直、寂しさよりもほっとした感じが大きいです。
塚越暁 2026.04.14
誰でも

10年間、原っぱ大学としてお借りしていた逗子の古民家「100sai」。契約満了につき、本日、カギを返却し、お別れをしました。10年、長かったようなあっという間だったような。正直、寂しさよりもほっとした感じが大きいです。

戦前からの歴史を背負った傾きかけた古民家

古民家100sai。名の通り100歳を超える建物。戦前には逗子の奥地、今は地名もなくなってしまった「柏原村」という谷戸の集落に建っていたおうちです。戦時中にその集落のあったエリアが海軍の弾薬庫になるということで、村中がその土地を追われました。なんとか土地をみつけ、集落ごと引っ越すことになりました。家を一度解体して、今建っている場所に建材を運びこみ、また建てたとのこと。

引っ越してからもゆうに80年が過ぎています。もういまは110saiぐらい。

瓦はズレて雨漏りだらけ。屋根は垂れ、柱は斜めになり、雨戸もガラス戸もピシッとしまらない。文字通り朽ち果てかけた家。長い時間をかけ、逗子の歴史を見守り続けた家。

僕らはその一瞬の10年間だけを間借りしまして、自由に使わせてもらっていました。

ずいぶんいろんな「もののけ」に出くわした

我々が使うまではしばらく空き家だったこともあり、当初はずいぶんと「もののけ」の気配を感じました。霊感的なものはほぼないワタクシですが、それでもトイレに立つたびにゾクゾクと身震いしたことは数知れず。誰もいないのに子どもの足音がするなんて日常茶飯事。

夜中に肝試し的に倉庫に行ったスタッフが文字通り何かに「憑りつかれた」なんて大騒ぎになったこともあったし、霊感の強いスタッフがオジサンが見えていててっきりそのオジサンはスタッフのひとりだと思っていたけど、じつはそんな人はいない(人間じゃない)なんてこともありました、そういえば。

最初の半年から1年ぐらいはそんな感じだったなぁ、そういえば。でも不思議と大勢の子どもたちが出入りしてワイワイし続けるとそういう気配がどんどん薄くなっていって、人間の、子どもたちのエネルギーに満ち溢れた場になっていったようです。

ミニ四駆レース、秘密基地、アルミ鍛造…

そこから先は本当に好きにやらせてもらいました。

庭先に勝手に「秘密基地」をつくったり、屋根裏に抜ける天井をぶち抜いて秘密の通路を作ったり。巨大ミニ四駆コースを作ってレース大会をやったら人が集まりすぎてパニックになったり、瓦屋根の上にのって屋根から流しソーメンしたり。アルミ缶を溶かして鍛造をしようとしたら異臭騒ぎみたいになっちゃったり。倉庫を改造してサーフボードづくりの工房にして、完全に公私混同していたり…。

近隣の皆さまの暖かいご理解あってのことです。

10年。あっと言う間なんですよね。当初出入りしていた子たちはみんな中学生か高校生になっちゃってて。久しぶりに会うと敬語を使われちゃったりする。100saiはいつのまにか110saiになり、僕はきっちり38歳から48歳になる。

何も変わっていないようで、ぜんぜん違うところに立っている。

10年前はコロナ禍のはるか以前だし、こんなにも世界情勢が不安定になるなんて想像もしていなかったし、何よりも自分がこんなにAIだロボットだに没頭している姿なんて想像だにしていなかった。だいたい、自分の会社が10年もつとも思っていなかった気がする…。

10年間、見守ってくれてありがとう。

10年。短いようで長い、長いようで短い時間をともにした古民家100saiとは今日でお別れ。泥縄人生のワタクシ、引っ越しの荷出しがカギの引き渡し当日の朝までずれ込み、バッタバタでした。感傷に浸る間もなく、事務手続きを行い、気づいたら、昨日までは自分たちの拠点だった場所が、勝手に入ったら「不法侵入」となるよそ様の場所になってしまいました。

不思議な感覚です。

今朝、カギの引き渡しの直前に、室内を箒で掃除していたら、感傷のようなものは全然わいてこなかったのですが、家への感謝の気持ちがスーッとわいてきました。

見守ってくれてありがとう。
僕らに使わせてくれてありがとう。
事故なく、ここでの活動を終えられてありがとう。

家と、家を守り続けた神棚と、裏庭のお稲荷さんに手を合わせました。

4月だしね、さあ、前を向いていこう。

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