ルール破っても、マナーは守るぜ。

この週末は子どもたち15人が参加して、三浦半島の秘境、長井の海辺で1泊2日のサバイバルキャンプでした。テントを自分たちで建て、料理を作っての共同生活。こだわりが強い小学生が15名集まるとそりゃもうカオスなわけです。自分の興味の赴くままに過ごす自由でたくましい姿にたくさん出会えます。一方で、共同生活のなかでは「やらねばならないこと」が確実に存在するわけで…。
原っぱ大学 ガクチョー ツカコシ 2023.10.10
誰でも

この週末は子どもたち15人が参加して、三浦半島の秘境、長井の海辺で1泊2日のサバイバルキャンプでした。テントを自分たちで建て、料理を作っての共同生活。こだわりが強い小学生が15名集まるとそりゃもうカオスなわけです。自分の興味の赴くままに過ごす自由でたくましい姿にたくさん出会えます。一方で、共同生活のなかでは「やらねばならないこと」が確実に存在するわけで…。

キャンプでの子どもたちの在り方を見ていると「今この瞬間を生きる」ことの素晴らしさと、「先を見据えてやるべきことをやる」ことの難しさ、先を展望して動ける大人の素晴らしさを実感するのであります(ちなみにワタシはいまだ、先を見据えて行動するのが苦手であります、大人ですが、一応)。

非日常に解き放たれた子どもたちは掛け値なく「いまここ」を生きているのであります。これがやりたいからやる。寒い。暑い。ハラヘッタ。好き。嫌い。やりたい。やりたくない。自分たちのニーズを直球に表現し、実行する彼らのたくましさよ。大人の「こうしてくれたらいいな」を全力で裏切り続ける子どもたちの清らかなまでの空気読まなさよ。

目の前に美しく生き物豊富な海があるわけで。ワタクシたちスタッフの大人ゴコロとしては海で遊ぼうぜ!といろいろと用意してあるわけであります。カヤック、釣り、素潜り。でもそんな大人の思惑は全く無視で、子どもたちが心を通わせあっていたのは、野球。延々とやっていました。

別の子らが夢中になっていたのは砂浜に塹壕を再現して、持ち込んだ玩具の兵隊を散らして「硫黄島」のミニチュアジオラマをつくっておりました。なぜ、硫黄島…。

最高ですよね。その場のインスピレーションで過ごしたいように過ごす。やりたいからやる。他者とわかちあう。忖度とか一切なし。バンザイ。

でも、ですね。キャンプは共同生活なのであります。そう、生活。生活はやらねばならぬことを進めねばならんのです。ただ遊んでいればいいのではないのです。生活を自分でつくることが、オトナの入口。火をおこす。テントを建てる。料理を作る。荷物を片付ける…。

生活とはときにワクワクすることだけでは構成されていないのであります。そして、先を見据えて行動しないと時間はどんどん過ぎ、太陽は西に傾いていくのであります。

もちろん、大人である私たちスタッフがお膳立てしてしまうのは簡単なこと(むしろその方が子どもたちに任せるより1万倍簡単です)。でも、主体的に生きるということはただ、自分の欲求に従って遊んでいればいいのではないのだ!先を見通して生活を作っていくことが必要なのだ。と私たちは自らを律し子どもたちに委ねるのであります。

言うは易し、行うは難し。この写真を見てくださいませ。

私たちのキャンプ地に設置したテーブルとイスです。

即席の食卓。合板のテーブルにあわせて石の椅子を集めてくる役割を担った子どもたちが設置しました。皆が快適に夕ご飯を食べられるようにイスになる石を集める。シンプルな仕事。彼らは早く「仕事」から解放されて遊びたいため、超スピードで石を集めてきました。注目は右上の石。こぶしより小さい…。これにどうやって座れっていうんじゃ!

一事が万事、こんな感じです。

一生懸命手を動かす子もいれば、なんとか「仕事」はサボろうとして首根っこをとっ捕まえられる子もいる。当然ながら仕事のクオリティもまちまち。

でも、なんかそれでいいと思うのです。みんなが公平に、平等に、ではないけれどそれぞれがひとつの仕事に意識を向けて、うまくいったり、いかなかったりを体感する。役に立ったり立たなかったりを体感する。その経験が大事な気がするのです。

私たち、大人のスタッフはそんな子どもたちの「仕事」っぷりを優しく見守っているのかというと…。そんなことはありません。大声出します。厳しい声がけもします。感情も込めます。ときに汚い言葉もでます(スミマセン)。

それは、私たちスタッフ一人一人の向き合い。全員の安全を見ながら、ひとりひとりにとってより良き経験になるように思いを馳せながら、大人だから想像がつく「少し先」の出来事を想定しての声がけ。

未熟な私たちはときにいまいちな声がけをしてしまうこともあるのだけれど。そしてそんな自分を反省したりするのだけど。でも本当はどこにも「正解」なんてないことをどのスタッフも知っていて…。

ひとりひとりと真剣に向き合う。ただそのことを大切にしているのであります。

  ルール破っても。 まぁまぁ。マナーは守るぜ。まぁまぁ。  
THE BLUE HEARTS 「緑のハッパ」甲本ヒロト作詞

若いころに好きだったTHE BLUE HEARTSの曲の歌詞。ふとした瞬間に頭をめぐります。

私たちスタッフは子どもたちの長い人生のほんの一瞬を共に過ごしているだけ。

ルールの何たるかを教えたり、ルールを守るべく「教育」することは難しいのかもしれないけど。人として向き合って、人として大切なこと、大切だと私たちひとりひとりが信じていることを瞬間瞬間で全力で伝える。そんなことをしているのかもしれません。

そしてたぶん、そんな程よい距離感の大人の関りが子どもたちにとってきっと大切だと自負しているのであります。もし未経験の皆さまがいらっしゃいましたら、原っぱ大学に一度、遊びにお越しくださいませ。←宣伝でした。

がんばって建てたテントでは結局寝ず。寒い屋外で寝ることを選択。意味不明だけどそれがいい。

がんばって建てたテントでは結局寝ず。寒い屋外で寝ることを選択。意味不明だけどそれがいい。

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