時間をかけることを怖がらなくていいんだ。

新入社員のケイちゃん(43歳)と話をしていて思い出したのですが、ワタクシ、先月末で前職のリクルートを退職してから10年経ちました。当時、長男7歳、長女4歳、私35歳。新卒入社の会社を辞めて自分で仕事をはじめたばかり。20年勤めた大企業を辞めて微細な会社に転職してきてくれたケイちゃんの今と、当時の私は状況が似ていなくもない。ケイちゃんへのエールの意味を込め、10年前の自分にあてた手紙を書きます。
原っぱ大学 ガクチョー ツカコシ 2023.07.11
誰でも

新入社員のケイちゃん(43歳)と話をしていて思い出したのですが、ワタクシ、先月末で前職のリクルートを退職してから10年経ちました。当時、長男7歳、長女4歳、私35歳。新卒入社の会社を辞めて自分で仕事をはじめたばかり。20年勤めた大企業を辞めて微細な会社に転職してきてくれたケイちゃんの今と、当時の私は状況が似ていなくもない。ケイちゃんへのエールの意味を込め、10年前の自分にあてた手紙を書きます。

かなり個人的な話なのですが、皆さんにも伝わるものがあったらいなと思っておりまする。

まずは、2013年7月当時の自分の状況をFacebookのフィルター機能(←これ超便利!)を使って当時の投稿を見返しつつ思い出してみようと思います。

原っぱ大学の前身、「子ども原っぱ大学」を立ち上げたのが2012年。2013年の段階では、これを自分の生業にしていく、と決めていたもののどうやって継続的なビジネスとして稼いでいくか全く見えていませんでした。

それでも独立した喜びに満ち溢れていました。当時、「ノマドワーカー」って言葉がはやっていたと思うのだけど、スタバで短パン・ビーサンでノートパソコンを開いている自分に酔っておりました。「ああ、俺もノマドワーカーだぜ」。(ちなみに今も短パン、ビーサンでスタバでこの文章を書いております。進歩なし)

会社を辞めたご祝儀でいろんなお仕事のお話が私個人にはくるのだけど、自分が本当の意味で何ができ、何を価値としていけるのかまるでイメージがなく、ワクワクの裏側で不安がどんどん膨らんでいたのを記憶しています。2014年にかけてどんどん苦しくなっていったのを憶えています。そういえば。

その苦しさは自分がどこへ向かうのか分からない苦しさ、どうやってお金を稼ぐのかわからない苦しさ、そんなものだった気がします。迷子って苦しいよね。そして、そんないっぱいいっぱいの自分だからこそ、家族との時間をどこまで大切にできたのかよくわかりません。おそらく、自分のことばっかり考えていたのだと思います(それは今もですが…)。

そんな自分に向けてのお手紙でございます↓

35歳、独立したて、7歳児と4歳児のお父さんのあきら君へ

やあやあ、独立おめでとう。ワクワクしているかな?未来に不安があるかな?今はたぶん、ワクワクの方が大きいよね。素晴らしい、ええじゃないか。ワクワクを信じて突き進めばよろし。以上。

でもね、きっと迷うよ。迷いまくる。そして失敗もする。失敗しまくる。人間関係でもお金のことでも、なんでもかんでも。

あなたはズバリ、地雷を踏み抜きまくるでしょう。

今のあきら君はリクルートでバリバリやってきた自分の能力があればどんな荒波も切り抜けられるぜ、って思っているでしょう。それくらいたくさんの経験をしてきたし苦労もしてきたしスキルも積み上げてきたって思っているでしょう。

それは多分その通りだと思うし、そのスキルはきっと君を助けてくれるよ。先輩たちに感謝をして、大切にしてちゃんと活用したらいいと思う。

でもね、そのスキルだけでなんとかなるほどこの先の10年は甘くないぜ。むしろそのスキルが、こだわりが邪魔することがたくさんあると思う。

あきら君、君は多分、何も分かっていない。自分のことも、家族のことも、仕事のことも。「そんなことない、分かってるもん」って君は言うと思うけど、その「分かってるもん」が分かっていない証拠だぜ。いや、10年後の僕も分かっているか怪しいものだけどね。

君の「分かってるもん」を解くために君はたくさん、たくさん、失敗するのだ。痛い思いをするのだ。人様に繰り返し繰り返し、迷惑をかけるのだ。どどーん。 

そうして「分かっていない」ってことを知っていくんだ。それは痛いし、苦しいし、無様な自分を晒すことになるし、取り返しのつかないことをしてしまったと大いに凹むことになるし、自分の弱さ、情けなさに泣きそうになるし(実際に泣くし)。

そして、一朝一夕ではいかないよ。10年経ってもまだ全然。同じこと繰り返してたりします。残念ながら…。

だけど、それでいいんだよね。時間をかけて、ひとつひとつ体感して、向き合っていくしかできない。いきなり「分かる」ことはできないから。解像度は急には上げられないから。

時間はかかるよ。それでいいんだよ。

時間をかけることを怖がらなくていいんだ。

だからね、迷ったり惑ったり困ったり凹んだりしたときには、その時の状況を味わい尽くしたらいいのだと思います。苦しくなったら苦しさに溺れてしまえばいい。回り道してもいいし、不器用でも無様でもいいから。逃げ出したいときは逃げ出してもいい。ゆっくり亀のように、行ったり来たり歩けばいいよ。

同じ過ちを何度も繰り返して本当に嫌になると思うけど、そのときは「ごめんなさい」って心の中で思いながら、精一杯善処すればよろし。

そうやって自分の心と身体で知ったことはきっと本物になっていくから。大丈夫。

あ、そうだ。

10年長く生きた45歳の自分として、僭越ながらひとつだけアドバイスをするね。他者のメッセージに、心を開いて受け取ること。受け取ろうとすること。これができたら、ちょっとだけ早くいろんなことに気づけるような気がする。

人生の先輩、後輩、同僚、メンバー、パートナー、子どもたち…。この先、いろんな人がいろんなメッセージを君に伝えてくれるのだけど「怖いな」って思うとき、君は受け取ることを拒否する癖があるんだ。

あ、いま、「なるほどー」って涼しい顔をしていると思うけど、心の中では僕の書いていることを受け取ることを拒否しているよね、全力で。(君はまず、拒否した自分を知ることからだね!)

それもまた仕方ないことだから時間をかければいいと思うけど・・・。どんなメッセージもひとまず受け取るってことができたら一気に世界が広がると思うよ!(かくいうあたしもまだ修行中ですけどね)。

案外、他の人は君が思っている以上に君のことを分かっているし、感じてくれているし、愛をもって接してくれているんだ。だから、怖がらなくていいんだぜ。

レッツ オープン ユア マインド!
アンド テイク ユア タイム!

35歳のあたくし、何かを必死に撮影しております。口が開いてるよ!

35歳のあたくし、何かを必死に撮影しております。口が開いてるよ!

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