AIによる経営の自動化で見えてきたこと。
2026年の年始に、わが社の経営をAIネイティブにする、と決めて取り組んできました。その間、世の中には一気にAIが浸透したなかで、「AI」という一つの言葉でイメージするものが人ごとにバラバラだということを強く感じます。「AIを仕事で使う」と言ってもその使い方は様々。1年の3/4が終ろうとしているわけで、改めて、うちの会社での取り組みをまとめてみます。
これまでの経緯。人間中心からAI中心へ
2026年の年始に「Harappa Management Cockpit」と称して、人間(私)を中心に置いて、AIが様々なタスクを自動的に処理する仕組みを導入しました。経理処理やシフトチェックなどが自動化され、それまでと比べて格段に効率的に業務が回る様になりました。
ただ、5月ごろには業務が止まり始めました。何かというと、AIではなく、私が業務を止めるようになったんです。そう、人間がボトルネック。経営の中心を自分に置いたことにより、私の指示やチェックが止まることで業務に滞りが出て、フローが破綻しました(AIは悪くない・・・)。
そこで、発想を変えました。自分(人間)を中心に置かない 「Harappa Management Garden」へ。「庭」の植物たちのごとく、AIが自律的に業務を遂行し、私のところには報告や判断の相談が届く。業務の起点を自分にせず、AI起点にする。もちろん、それは全自動という意味ではなく、確認や判断や調整は人間が行う(この境界線も日々、運用しながら調整しております)。
自動化の先に経営の見える化が進んだ
Gardenが動き始めて4カ月経った現在。ClaudeやChatGPTの劇的な進化もあいまって、Gardenには当初想定していた以上の価値を感じています。その価値を一言で表すとすると、それは「経営の見える化」です。
なんだよ、そんなことかい!とずっこけた皆さん、すみません、そんな基本的な話です。
順を追って説明します。
もともとの私のニーズは面倒くさい経営管理の定型業務をAIに外注すること、でした。例えば経費精算、経理の帳票入力、スタッフ稼働の集計、SNS投稿の予約、資料作り、議事録の記録などなどなど。ひとつひとつは些末な小さなタスクだけど、それが積もると非常に時間を使う。だから後回しにする。そうすると後回しにしている小さなタスクが積み重なってプレッシャーになる…。負の循環。
もちろん、人を雇って解消するのが定石なのでしょうけど・・・。わが社はそんな予算もない極小零細企業。そんなわけで、AIにこれら小さな定型タスクを外注する、というところからAI移行が始まりました。
例えばこんな感じの業務です:
・打ち合わせの議事録作成と管理
・提案用のスライド作成
・メールの整理や分類
・クライアントへの見積書/請求書の作成業務
・経費精算
・スタッフの稼働の確認
・スタッフやパートナーへの支払い処理
・日々の会計の帳票入力
・帳簿と預金残高の突合せ
ひとつひとつは30分とか1時間のタスクではあるものの、ゼロから私のような(細かい確認を要する仕事が苦手な)人間がやるには非常に苦痛となる仕事の数々…。
データは経営の土壌。業務を超えた集積が力に
これら、一つ一つを手元のAIと遂行することを1か月、2カ月と続けていくと、徐々に、データが溜まってくるんです。クライアントとの打ち合わせの数々、見積もりや請求書の数々、経費や稼働の状況などなど、毎月のルーチンとしての会社の健康状態にかかる情報とその先行指標となる動きが数字と言葉としてAIが読み込めるデータとして溜まっていきます。
僕自身は当初、あまり意図を込めていなかったのですが、これら溜まりゆくデータをHarappa GardenにおいてはSoil(土壌)と名付けていました。まさに土壌に養分が溜まる様に、そこに蓄積されるデータが溜まれば溜まるほど、AIが会社の状況を「見える」ようになってくる…。もともとはひとつひとつの別のちいさな業務を効率化するために作った仕組みが土壌に蓄積されたデータを介してつながっていく・・・。
もちろん、ただデータを集積するだけでは使える記憶にならない。ひとつひとつにラベルを貼っていきます。どのクライアントのどのプロジェクトの話しか、誰が関わっているのか、その担当のメールアドレスは何か、どの資料を先方に提示したか。これらラベルももちろん、僕が貼るのではなくAIが貼っていきます。こうして業務を超えて共通のラベルが貼られることで、それぞれのステータスが横ぐしで見られるようになっていく。
土壌の菌糸がつながることで、10年来の課題が解決
個別の業務が、データを介して、土中の菌糸がつながるように連携されるようになってくるんです。
例えばこんな感じ:
①案件ごとの打ち合わせの議事やメールを統合して各案件のステータスが管理される
②クライアントや社内の複数の打ち合わせの議事録を横断的に読み込んで、提案資料をつくる
③その過程で合わせて見積書をつくる(見積書は過去の同様の事例から引いてきて作成)
④見積書を作成すると、それは売上利益の「ヨミ」として記録される
⑤↑この積み上がりで先々の会社の数字のヨミが幅をもって可視化される
⑥実際に請求書をメールで送ると、その時点で請求済みと記録される
⑦請求情報と入金の突合せが自動で行われ必要ならアラームが出る
これらが集積されることで、会社の現在地とヨミがこれまでにない精度で迅速に「見える化」される。
すでに確定している数字、実現する確度が高い案件、まだ努力が必要な案件。それぞれが数字とともに立体的に可視化されました。自分たちの「今」とこれから先が常に見えている状態。
経営をするうえではあまりに当たり前のこと。
当たり前なのだけど、この状態を整えるために要する努力と支払うコストが大きすぎて、なかなかそうならなかった(10年以上。そして何度も会社は潰れかけました・・・)。しかし今は、豊かな土壌としてのデータが蓄えられているから、会社の今がすぐにわかる。手に取る様にわかる。何と健康なの!!
数字を集めて、反映する事務作業にかける労力はほぼなくなり、出てきた数字を見て判断することに力を注げるこの快適さ。自分がやるべきことをやれている喜びが非常に大きいです。
この仕組みを回すのに意識していること
この体制を作るにあたって私が意識していることがいくつかあります。
とにかく、文字情報としての記録を残し続ける
文字情報はすべてが財産。なので、会議の記録、おしゃべりの記録、さまざざま文字情報を突っ込みまくる。私はplaudという録音文字起こしサービス&デバイスを愛用しておりまして、とにかく記録するこれを私の「Garden」システム内の「Kura(蔵)」という置き場にどんどん突っ込んでいます。蔵から土壌に連携され、AIとの共有知になっていきます。
認知負荷を下げ続ける努力をする。完成はない
システムは生き物で使いながら改修を続けています。個別最適を繰り返しているといつしか全体としては使いづらく、認知負荷の高い仕組になってしまいます。認知負荷が高まると使わなくなる。だから、なんか使いづらいなー、と思ったらガマンせず、一気に見た目や確認フローを切り替える。そうするとまた一気に使いやすくなる。これを繰り返す宿命。私の場合には2-3カ月に1回、UI、UXを変更しており、今は独自のダッシュボード運用にふっています。
特定のLLMベンダーに依存しすぎない体制づくり
これはとても大事。僕がここで書いていることはClaude CodeやCodexのアプリ内に似たような環境は構築できます。とても簡単に。ただ、安易にアプリに依存してその形をつくってしまうと、そのベンダーに依存し過ぎることになります。LLMベンダーはいまや電力のようなインフラなので、個別のベンダーに頼りきらずに、いつでも移動できる自由さをもっておくことが大事だと考えています。現在は、私のGardenは主にClaudeのAPIを使いつつ、Claude CodeとCodex、どちらからでも改修・操作ができるようになっています。自己決定の自由が手元にある。
AIの自己改善のループが回る設計を、徐々に
これはここ1カ月ぐらい意識しはじめ、徐々に実装しはじめていること。AIの提案に対して私が選択したことや、私が修正を加えたこと、こちらを選ぶという判断をしたことなど、そうした判断の履歴の情報を蓄え、より的確に、私たちの会社にとって「適切な」判断をAIができるように自己改善できる輪を作っていくこと。そのためには判断の履歴とその理由を蓄え、その判断の履歴が次の判断に活かされるというグルグルが回る仕組みをつくっていくこと。これに少しずつ取り組んでいます(なかなか難しい)。
事務仕事の解消、からはじまったAI導入で気付いたら会社の土台が非常に筋肉質になっていた。未来が見える有視界飛行に変わっていた。たかだか9カ月の歩みです。ここから先の進化が楽しみ!
色んなAI関連サービスはじめてます!(宣伝)
そんなわけでAIカンパニーHARAPPA株式会社として、以下、私たちが実践から手にしたナレッジをご共有するサービスのご案内です(宣伝!)。
①個人で仲間と学ぶデジタル原っぱ大学 第3期 募集中
https://digital.harappa-daigaku.jp/
AI仲間のもっちゃんと一緒に運営しています。未経験から、楽しみながらAIとのものづくりをできるようになっていくプログラムです。毎回、小学生・中学生から大人まで、主婦から経営者まで、さまざまな立場の人たちがAIとものづくりの成果を上げています!
②法人向けのAI研修もご用意しました
https://digital.harappa-daigaku.jp/business
デジハラをベースに生まれた法人向けプログラム。お問い合わせがちらほらあったので形にしました。厚生労働省の人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)という助成金を狙えるようにパッケージ化しております。助成率最大75%!(すごい!)
③1to1の個別レッスンAIBOU Gymというサービスメニューもあります
https://aibou-gym.vercel.app/
個別レッスンがいいんだよね、という方に向けて、AIを相棒にするためのレッスンパッケージ。こちらはワタクシの隙間時間でやっておりますので、そんなにたくさんは受けられませんが、いまは枠があります。完全初心者も、実務に活かしたい経営者もウェルカム。

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